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子どもたちの未来のために——「楽しく備える」「楽しく学ぶ」防災キャンプのすすめ

近年、地震や台風、大雨などの自然災害が頻発し、防災意識の重要性がますます高まっています。特に、子どもたちが災害時に自らの身を守り、適切な判断ができる力を身につけることは非常に重要です。しかし、多くの大人は「危険だから」と子どもたちに防災に関する実践的な経験を積ませることを避ける傾向にあります。

しかし、実際にキャンプの場では、子どもたちは大人が思っている以上に新しい技術や知識を素早く吸収し、未経験のことにも積極的に挑戦します。興味がある・ないにかかわらず、一度やり始めると夢中になって取り組む姿を何度も目にしてきました。そこで、防災を「学ぶ」だけでなく、「楽しみながら備える」ことをテーマにした防災キャンプを提案します。

防災キャンプは、単に防災の知識を学ぶだけでなく、「生き抜く力」や「生きる力」を育む場でもあります。楽しみながら実践的な技術を身につけることで、いざという時にも冷静に対応できるようになるのです。


 

大人が心配する「危険」と、子どもが持つ可能性

子どもたちに防災キャンプを経験させるにあたり、多くの大人は「危険なのではないか?」と不安に思うかもしれません。確かに、火を扱うことや刃物を使うこと、ロープワークなど、日常生活ではあまり触れることのない活動が含まれます。しかし、だからこそ、これらの技術を安全に学び、実践する機会が重要なのです。

実際にキャンプの現場では、子どもたちは大人が想像する以上に早く技術や知識を習得し、主体的に行動することができます。例えば、火おこしをするとき、最初は戸惑いながらも何度も試行錯誤し、最終的にはマッチやライターを使わずに火をおこせるようになる子もいます。また、テント設営やロープワークでは、慣れないうちは苦戦しますが、数回の実践でコツを掴み、自ら工夫しながら設営できるようになります。

こうした経験を積むことで、子どもたちは「自分でやればできる」という自己肯定感を高め、災害時にも冷静に対応できる力を身につけることができます


 

「楽しく学ぶ」「楽しく備える」防災キャンプの意義

防災教育というと、学校での座学や避難訓練を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、防災は「知識」と「実践」がセットになってこそ意味を持ちます。その点で、防災キャンプは非常に有効な学びの場となります。

キャンプという非日常の環境の中で、テントを張る、火をおこす、水を確保する、食事を作るなどの体験を通じて、災害時に役立つスキルを自然と身につけることができます。特に、「楽しみながら学ぶ」ことが重要です。楽しい体験の中で得た知識や技術は、強く記憶に残り、いざというときに自然と役立つものになります。

また、防災キャンプはチームワークを養う場でもあります。仲間と協力してテントを立てたり、食事を作ったりすることで、助け合いの精神が育まれます。災害時には、一人で行動するのではなく、周囲と協力することが生存率を高める鍵となります。その意味でも、防災キャンプは単なるアウトドア体験を超えた、価値のある学びの場なのです。


 

非日常の経験が「生き抜く力」を育む

現代の子どもたちは、便利な生活の中で育っています。スイッチひとつで部屋が明るくなり、ボタンを押せばお湯が出る。食事も電子レンジで温めるだけで簡単に準備できます。しかし、災害時にはこうした「当たり前」が使えなくなる可能性があります。

防災キャンプでは、そうした「当たり前」がない環境で生活する経験を積むことができます。例えば、限られた水をどう使うか、電気がない中でどう明かりを確保するか、食料をどう調理するか。こうした経験を積むことで、子どもたちは「もしも」のときに落ち着いて対応できるようになります。

また、非日常の環境では、創意工夫の力が養われます。例えば、雨が降ったときにどうやって濡れずに過ごすか、風が強いときにどうテントを設営するかなど、実際の環境に合わせて考え、行動する力が身につきます。これは、単なる防災スキルではなく、「生き抜く力」として、人生のさまざまな場面で役立つものになります。


 

大人の役割と機会の提供

子どもたちが防災スキルを身につけるためには、大人が適切な機会を提供することが不可欠です。学校や自治体、企業、さまざまな団体が協力し、子どもたちが楽しみながら防災を学べる環境を整えることが求められます。

特に、学校教育では防災の座学が中心になりがちですが、実践的な学びの機会が不足しています。自治体や企業が防災キャンプを支援することで、より多くの子どもたちが実際に体験できる場を提供することができます。

また、親自身も防災キャンプに参加することで、子どもと一緒に学び、家庭での防災対策につなげることができます。親子でキャンプを通じて学ぶことで、防災の意識が高まり、実際の災害時にも冷静に対応できる家庭が増えるでしょう。


 

まとめ:子どもたちの未来のために

防災キャンプは、単なるアウトドア体験ではなく、子どもたちが「生き抜く力」を身につける貴重な機会です。大人が適切な場を提供し、楽しみながら学べる環境を整えることで、子どもたちは災害時にも落ち着いて対応できる力を身につけます。

「もしも」のときに備えながら、楽しく学べる防災キャンプ。子どもたちの未来のために、私たち大人ができることを一緒に考え、実践していきましょう。


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