top of page

防災キャンプ連載コラム/「生きる力を育てる 〜キャンプから学ぶ防災術〜」シリーズ1「なぜいま、防災キャンプなのか?」

〜アウトドアで育てる「生きる力」と「自分ごと」の防災意識〜


■ はじめに:相次ぐ災害の時代に生きる私たちへ

地震、大雨、台風、洪水、土砂崩れ、豪雪…ここ数年、日本各地では毎年のように大規模な自然災害が発生し、ニュースでそのたびに多くの人命や日常生活が失われる光景が流れています。私たちは、今や「いつか起こるかもしれない災害」ではなく、「いつどこで起きてもおかしくない災害」の時代に生きているといっても過言ではありません。

しかし、災害のニュースを見て「怖いな」「大変そうだな」と思う一方で、自分ごととして捉え、日常的に備えている人は、まだまだ少数かもしれません。

そんな中、私たち一般社団法人 日本防災キャンプアウトドア協会は、災害に備える“特別な知識や訓練”ではなく、日常の中で楽しみながら自然と身につく「生き抜く力」=防災力をテーマに活動を行っています。

それが、「防災キャンプ」です。


■ キャンプと防災は、実はとても近い

キャンプといえば「自然の中で非日常を楽しむレジャー」という印象が強いかもしれません。しかし、よく考えてみてください。

テントを張ることは、「住まいの確保」焚き火やバーナーで調理することは、「ライフラインの自立」水を確保し、火をおこし、自分の身を守ることは、「サバイバル技術」

これらはすべて、災害時に必要とされる行動そのものです。

つまり、キャンプは、〜“楽しみながら防災力を身につけることができる絶好のフィールド”〜なのです。


■ 協会のミッション:アウトドアで「自助力」「共助力」を育む

日本防災キャンプアウトドア協会では、以下のミッションを掲げています。

「キャンプやアウトドアの知識・技術を通して、防災意識を高め、誰もが『災害を自分ごと』として捉えられる社会をつくる」

このミッションには、ふたつのキーワードがあります。それが、自助力共助力です。

● 自助力(じじょりょく)とは?

自助力とは、災害が起きたとき、自分自身の命を自ら守る力のことです。水や食料を確保し、安全な場所を選び、火を起こし、眠る場所を作る——言い換えれば、サバイバルの力です。

キャンプは、まさにこの自助力を育てる実践の場。日常から離れて、あえて不便な環境に身を置くことで、自分の力で暮らす術を体験的に学ぶことができます。

● 共助力(きょうじょりょく)とは?

共助力とは、地域や仲間と助け合って生き延びる力のことです。災害時に「自分さえ助かればいい」という考えでは限界があります。一人では難しいことも、助け合えば乗り越えられる——その実感は、キャンプという共同体験の中で自然と芽生えます。


■ 子どもたちにこそ「防災キャンプ」を

とくに、今後の社会を担う子どもたちにこそ、この力を体験してほしいと私たちは考えています。

ゲームやスマートフォンが当たり前の時代に育った子どもたちが、自然の中で不便を感じ、自分の手で火を起こし、水を運び、食事を作る体験は、学校の勉強では得られないかけがえのない学びです。

そして、キャンプという遊びの延長で「防災のスキル」を楽しく学ぶことができれば、それは子どもたちの中で「災害を自分ごととして捉える意識」へとつながっていきます。


■ 楽しさの中に“備え”を組み込むこと

「防災」という言葉には、どこか義務感や難しさがつきまといがちです。「準備しなきゃいけないけど、面倒くさい」「何をすればいいかわからない」——そんな声をよく耳にします。

だからこそ、私たちは**「楽しさ」と「学び」を掛け合わせる」**ことにこだわっています。

キャンプを楽しむ中で、いつの間にか備えができている。仲間と火を囲む中で、防災の話が自然と出てくる。そんな場を、日本中に増やしていきたいと考えています。


■ 防災は「知識」ではなく「行動力」

最後に、私たちが一番大切にしているのは、「知っている」よりも「できる」こと。防災の知識はインターネットや本で簡単に手に入りますが、実際に行動できるかどうかはまったく別です。

キャンプで体験したことは、手や体が覚えています。それは、非常時に「自分の命を守る力」となってあなたを支えてくれるでしょう。


■ これからの展望と連載のご案内

今後、私たちのブログでは、「キャンプで学ぶ防災術」「子どもと育てる生きる力」「女性視点の防災キャンプ」など、多角的な視点から防災とアウトドアのつながりを発信していきます。

次回は、**「自助力とは“生きる力”〜サバイバル視点で見る防災〜」**をテーマにお届けします。

災害はいつか来るものではなく、いつ起きてもおかしくない現実です。だからこそ、まずは一歩。キャンプを通して、自分自身の命と、大切な人を守る準備を始めてみませんか?


Komentar


bottom of page